BLOOD

本田千和編

告白

2015年 8月 15日

鳥本「…僕にとって、相手を支える言葉とは、」寂しそうな笑顔。 鳥本「”僕は痛みを想像した”と相手に思い込ませるための話術です」申し訳なさそうな笑顔。 隣にいた千和に…他に誰もいない空間で、千和に鳥本は続けた。 鳥本「アドバイスはしません」穏やかな笑顔。 鳥本「相手はすでに痛みと対峙しているからです」悲しそうな笑顔。 鳥本「”ああしろ、こうしろ”と言葉をなげかけるほど、痛みを味合わない他人であることが明確になってしまいます」物憂げな表情。 鳥本「当事者が求めているのは”同行者”なんです」真剣な表情。 鳥本「…だからこそ」 鳥本「僕が”悩みを打ち明けるとき”は、事実を編集して伝えます」 「…最大限、相手を痛めつけられるように」 千和は絶句して鳥本をみた。 「そうでないと痛みを想像できない人間が多すぎますから」 「こうしないと僕が求めるレベルのケアの言葉は得られないんです」 「僕は言葉で人を癒す分、並の励ましでは稚拙さに気づいてしまうんですよ」 「”あぁ、この人は本気ではない”と」 「”本気で脳に痛みを再現していない”」 鳥本の表情は、消滅していた。 これが本来の鳥本春樹の顔であった。 感情を設計する 怪物。 「…千和さん」 「千和さんの言葉にはいつも、嘘がない」 「だから僕は信頼しています」 「人生で初めて、人を信頼しています」 「”嘘だ”と思われようとかまわないです」 「…”嘘の鎧”を外さずにはいられないんです」 「千和さんの前だけでは」 まっすぐな表情だった。 その顔には、いつもの取り繕う笑顔はなかった。 「…どうしてですか?」 「どうしてそこまで…」 「…美しいんですか…?」 千和もまた、くすんだ水色の瞳をまっすぐ鳥本に向けていた。 聞こえる鳥本の声は穏やかで優しい。 だがおれは今、生き様を問われている。 真剣勝負だ、これは 千和「”美しい”んじゃねえ。」 千和「”兄貴がいるから”」 千和「そんだけだ。」 千和「兄貴は”嘘”はつかねえ」 千和「…兄貴はごまかさねえ」 千和「だから報われねえ」 強く激しい”覚悟”の沈黙が場を支配した。 千和「だからおれも真似してる」 千和「きょうだいだからよ」 鳥本は黙って千和の言葉を味わった。 同行するのか 兄の地獄に
2026年6月30日