PROJECTION 葛城正親編 最高の上司 2016年 風間竜也。27歳にして数多くの水商売の店を高収益で経営する敏腕だ。 彼が属する唯一の上司、FANGのトップ 葛城正親の印象を聞いた。 風間「葛城さんか?」 風間「あの人なー……」 風間がタバコの煙を含んだため息をついた。 風間「最悪だな…」 風間「詰められたことあるか?お前」 「俺は他のカスになら何度もある」 「殺してやりたかったぜ」 「でも葛城さんはそういうことゼロなんだよ」 「葛城さんとは世間話しかしねえ」 「店の話とか、部下が使えないって愚痴とか、面白そうな仕事の話とかすんだけどよ」 「葛城さんは全部聞いてくれんだよ」 「ありえねーだろふつう?他の同じ年齢のおっさんたち(2016年時点で40代後半)はみんな"1分で報告しろ"とかほざくのによ」 「俺がうっかり調子に乗って話しまくって2時間経ってた時があって血の気引いたぜ、あの時はよ」 「でもまったく気にしてないって顔なんだよな」 「それでよ……」 「さもどうでもいいような感じで本題の仕事の話にうつるんだよ」 「面会時間でいうと最後の1割くらいだ、長くてもよ」 「ここからが恐怖の時間だ」 「葛城さんは俺に報告させねえんだよ」 「あっちから全部言うんだ」 「俺が一切話してねえことをよ」 「言い訳、騙し、誇張、隠蔽一切不能なんだよ」 「地獄で審判受けるってこういう感じかって思ったぜ」 「どうしてこう行動したのかって理由すら聞かねえからな?」 「これも調べとけ、あいつには気をつけろ、こうすりゃ挽回できるってすげえ分かりやすい指示を2、3個出して終わりだ」 「…………。」 「あ、そう。凄さ、分かんねえか。」 「まあそうだろうな」 「馬鹿の理解なんて期待してねえよ」 「で。」 「さすがに葛城さんも上納金は要求してくるが……」 「これもな……」 「葛城さんは金額じゃなくて割合で指定してくんだよ」 「普通はレンガ(一千万円の意)とか言うのによ」 「だからこっちも自然と読み合いさせられんだよ」 「お前、稼ぎの1割だけ寄越せばいいって言われたらどう思う?」 「アガるよな?」 「馬鹿ならそうなるだろうな」 「逆だ」 「"これ失敗したら殺すぞ"っつーメッセージだよ」 「いや、"これしくじったらお前死ぬからな"っていうパターンの方が多かったか……」 どのような仕事だったのか尋ねた。 風間「あ?」 「なんて言った?」 質問を繰り返した。風間は沈黙した。 「なんていった?」 息が苦しくなった。この世界で仕事のことを詮索するのはタブーだ。なんでもない、と誤魔化した。 風間「あっそう…」 「あ。」 「そういや……」 「金じゃないときもあったな」 「なんでこんなものを?っつーモノを欲しがる時があったな……」 「どういうモノかは言わねえがよ」 「あーーあ………ったく……」 「次 葛城さんに会うのが憂鬱だよ………」 風間竜也は葛城正親がどのような特殊能力をもつか知っていた。 2026年4月1日