SHADOW

触れるな

2026年

戸次が部屋の隅で丸まっている。 千和がまた戸次を抱きしめた。 戸次「本田さーーん」 千和「篠原」 戸次「篠原さーーん」 戸次「また浮気ーー。」 戸次「浮気する人きらーーい」 千和「おい」 千和「そんなに嫌なら押し返してみろ」 千和「お前丸まって耐えてるだろ」 戸次は沈黙した。肯定だ。 戸次「……オレさぁ……」 戸次「やっと篠原さ……」 戸次「ケンさん?の気持ちわかった」 千和「兄貴の?」 戸次「超キツイねこれ」 千和はぱっと戸次から離れた。 千和「ごめん」「悪かった」 千和「でも離れて欲しかったらそう言え」 戸次「あ、ごめん、京都仕草で離れろって言いたかったんじゃなくて」 戸次「……いや同じやないかいッ」 セルフツッコミしながら横にぶっ倒れた。 戸次「心読まれるって、防御できないじゃん?」 千和「うん」 戸次「オレ、モノに触れないから防御不能じゃん?」 千和「そうだな」 戸次「これ、最悪」 戸次「耐えるしかない」 千和「悪かったって」 千和「……抱きしめるのがおれの得意技みてえなもんなんだよ……」 戸次「わかるよ」 戸次「オレも好き」 千和「……おい、おれのことハグ魔呼ばわりしたか」 千和「お前のとはちげーんだよ」 戸次「でもせずにはいられないでしょ?」 戸次は体を丸め込んだ座り姿勢を維持しながら続けた。 戸次「オレもそう」 戸次「大好きってクチでいうより伝わる」 千和はどんどん恥ずかしくなってきた。 千和「おい」 千和「やめろ」 千和「というか意味が違う」 千和「お前が大好きだから抱いたんじゃない おれが大好きなのは別の奴だ」 ↑兄貴だって言えばいいのに… 赤面している。 戸次「知ってるよーん」ニヤッとした。 千和「おれはな……」 千和「…………」 千和は自分のハグの意味を言葉にしようとした。 千和「………」 千和「駄目だ」 千和「言うもんじゃねえ。」 千和「つーか態度で示さないと意味ねえものを言葉にするとかバカだろ」 戸次「バカぁ!?」 戸次「ひどぉい」 千和「フン!」 千和「テメエとはちげえんだよテメエとはよ」 こめかみを人差し指でトントンしながら言い放った。 千和「とりあえずそうして丸まっとけ」 千和「なんか茶でも淹れるからよ」 戸次「じゃあオレ、コーラ」 千和「ごめん切らしてる」 戸次が抗議の鳴き声をあげた。 強がってんじゃねえよ…… おれの胸で泣け。
2026年2月15日